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リウマチ科

リウマチ科とは

なぜリウマチ科が重要か?

リウマチ科は、関節や筋肉の痛み、腫れ、こわばりといった症状を引き起こす病気を診る専門の診療科です。これらの症状は、免疫の異常が原因となって起こることが多く、関節だけでなく全身に影響を及ぼす病気も含まれ、膠原病と総称されます。 代表的な病気には、関節リウマチや脊椎関節炎(乾癬性関節炎、腸炎関連関節炎など)、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群などがあります。

リウマチをはじめとする膠原病は、関節だけでなく全身の臓器にも影響を与えることがあります。例えば、関節リウマチが進行すると関節破壊を引き起こし、日常生活が難しくなることもあります。また、全身性エリテマトーデスや強皮症では肺や腎臓などの臓器に深刻な障害が起こる場合があります。このように、病気によっては関節痛や腫れだけでなく、全身症状を伴うことがあり、適切な診断と治療を行わないと、関節の破壊や内臓への影響が進む可能性があります。関節だけでなく皮膚、目、内臓に症状が現れる場合もあり、他の病気との区別が必要です。

リウマチ科では、こうした病気を早期に発見し、適切な治療を行うことで、患者さんの生活の質を守ることを目指しています。放置すると進行してしまう場合が多いので、早めの受診が推奨されます。

こんな症状があればリウマチ科へ

  • 朝起きたとき、手指や足がこわばって動かしにくい。
  • 関節が腫れて痛む。
  • 筋肉や関節が重だるく、痛みが続いている。
  • 皮膚や目、口の乾燥、発疹がある。
  • 全身の倦怠感や微熱が続く。

これらの症状がある場合、リウマチや膠原病の可能性があります。リウマチ科では、症状の原因を総合的に診断し、適切な治療を行うことで、患者さんが快適な生活を送れるようサポートします。

リウマチ科の役割

病気の診断

リウマチ科では、患者さんの症状の原因を突き止めることが第一の役割です。問診、血液検査、画像検査などを駆使して、関節リウマチやその他の膠原病、その他の疾病が原因かを明らかにします。

治療とケア

リウマチ性疾患は多くが慢性疾患で、症状を完全に治すことが難しい場合もあります。しかし、適切な治療を行うことで症状を抑え、病気の進行を止めることが可能です。

治療方法には以下が含まれます。

  • 薬物療法:抗リウマチ薬、生物学的製剤、JAK阻害薬など。
  • 生活指導:適度な運動や食生活の改善。
  • リハビリテーション:関節の動きを維持するためのサポート。

リウマチ科で診る主な病気

リウマチ科では、主に免疫の異常が原因で関節や全身に影響を及ぼす病気を診療します。

  1. 関節リウマチ(RA)
  2. 脊椎関節炎(乾癬性関節炎、腸炎関連関節炎など)
  3. その他の膠原病(こうげんびょう)
  4. 血管炎症候群
  5. 骨や関節の他の病気

これらの病気は、放置すると症状が進行し、生活に大きな支障をきたすことがあるため、早期診断と治療が重要です。

1. 関節リウマチ(RA)

関節リウマチは、免疫が正常な体の組織を攻撃してしまう病気です。特に滑膜(関節の内側の膜)が炎症を起こし、関節が腫れて痛むだけでなく、進行すると関節が破壊されることもあります。

関節リウマチの症状は、関節の痛み、腫れ、こわばりがあげられます。最初は手や足の小さな関節に症状が出ることが多く、特徴的な「朝のこわばり」が見られることがあります。病気が進行すると、関節の変形や機能障害、全身の倦怠感がみられます。

2. 脊椎関節炎

脊椎関節炎は、免疫異常により正常な体の関節および組織を攻撃してしまう病気です。HLA-B27という遺伝子との関連があり、靭帯・腱の骨付着部から炎症を起こすのが特徴です。進行すると関節が腫れて痛み、関節が破壊されるのみでなく、脊椎や仙腸関節などの体の中心部にも障害が及ぶことがあります。代表的な疾患としては以下があります。

  • 乾癬性関節炎(PsA): 皮膚の病気である乾癬に伴って生じる関節炎で、進行すると関節リウマチのような変形が生じるのが特徴です。
  • 強直性脊椎炎(AS):主に脊椎や仙腸関節といった部位に炎症が起きるのが特徴ですが、股関節や膝関節などの大関節に障害が起きることがあります。
  • 腸炎関連関節炎:クローン病、潰瘍性大腸炎に伴う関節炎です。
  • 反応性関節炎:先行する感染症の後に発症する関節炎です。

3. その他の膠原病

免疫の異常によって全身の臓器や皮膚、関節に障害が出る病気の総称です。代表的な病気として以下があります。

  • 全身性エリテマトーデス(SLE):皮膚に出る「蝶形紅斑」や、腎臓の障害が特徴です。
  • シェーグレン症候群:涙や唾液の分泌が減少し、目や口が乾燥します。
  • 全身性強皮症:皮膚や内臓が硬くなり、動きや機能が制限されます。
  • 皮膚筋炎:皮膚や筋肉に炎症がおきる病気で、肺病変が合併することがあります。

これらの疾患は関節だけでなく、全身にさまざまな症状が現れるため、疑わしい場合は東北大学病院などの関連施設にご紹介しています。

4. 血管炎症候群

血管炎は血管自体が炎症を起こし、血流が滞ることで臓器に障害が生じる病気です。全身性の病気として以下のような種類があります。

  • 高安動脈炎:若い女性に多く見られ、大きな血管に炎症が起こります。
  • ANCA関連血管炎:小さな血管に影響を及ぼし、肺や腎臓を傷つけることがあります。

血管炎症候群は発熱を含めた全身症状が強い場合や、臓器に障害が起こる場合があるので、疑わしい場合は東北大学病院などの関連施設にご紹介しています。

5. 骨や関節の他の病気

リウマチ科では、免疫異常に限らず、関節や骨に影響を及ぼす病気も診療します。

  • 骨粗鬆症:骨密度が低下し、骨折しやすくなる病気です。
  • 痛風:尿酸が関節にたまり、足の指などが激しく痛む病気です。
  • 偽痛風:痛風と似ていますが、原因はカルシウムの結晶です。

リウマチ科で行う検査

検査の目的

リウマチ科の検査は、一つひとつが重要な手がかりとなり、適切な治療方針を立てるために欠かせないものです。様々な検査を組み合わせることで、症状の原因となる疾患を特定し、病気の進行度や炎症の強さを把握します。

診断がついた後も、治療の効果や副作用を評価するために同じ検査を繰り返し行うことがあります。以下のような検査を通じて、早期発見・早期治療を目指します。

検査の流れ

リウマチ科では、症状の原因や疾患の進行度を明確にするため、患者さんの状態に合わせてさまざまな検査を行います。それぞれの検査が何を調べるためのものか、具体的に説明します。

 1. 問診と診察

まず、患者さんの症状を詳しく伺います。特に重要なのは、どの関節が痛むのか、腫れているか、または朝に関節がこわばるかという点です。例えば、「朝起きたときに指が動きにくい」といった症状は関節リウマチの初期症状である可能性があります。全身症状として、発熱や倦怠感、体重減少があれば、全身性の病気を疑います。診察では、関節の腫れや変形がないか、触診と視診で確認します。手の指、足の関節、ひざなど、よく炎症が起きる場所を重点的にチェックします。

2. 血液検査

血液検査では、リウマチ性疾患や膠原病の診断に必要な情報を収集します。炎症の度合いを見るために、「CRP(C反応性タンパク)」や「赤血球沈降速度(ESR)」を測定します。これらは炎症が強いほど高い値を示します。さらに、関節リウマチでは「リウマトイド因子(RF)」や「抗CCP抗体」が陽性になることが多く、これらは診断の重要な手がかりです。一方で、リウマチ以外の膠原病が疑われる場合は「抗核抗体(ANA)」や疾患特異的自己抗体(抗DNA抗体、SS-A,SS-B抗体、抗Jo-1抗体、抗セントロメア抗体など)の検査を行い、その種類や陽性度合いから疾患を絞り込みます。

3. 画像検査

関節や骨の状態を確認するために、X線検査や超音波検査、MRIが使われます。 X線では、骨びらんや関節の隙間が狭くなっているかを確認します。関節リウマチが進行すると、このような変化が見られることがあります。超音波検査では、滑膜(関節を包む膜)の腫れや炎症の有無を詳しく調べます。MRIは、X線や超音波で見つからない早期の炎症や骨の異常を発見するために有用です。

4. 関節液検査

関節の腫れがある場合、関節液を採取して分析することがあります。関節液の中に白血球が多い場合、炎症が強いことを示しています。また、痛風や偽痛風では、関節液中に結晶(尿酸やカルシウム結晶)が見つかります。関節炎が感染によるものかを判断するため、関節液を培養して細菌の有無を確認することもあります。

5. その他の検査

膠原病の患者さんでは、腎臓や肺などの内臓が病気の影響を受けることがあります。そのため、尿検査で腎臓の状態を調べたり、CTや肺機能検査で肺の病変を確認します。